環境のことを真剣に考えるようになったのは、実はある日突然ではありません。
きっかけは、妻がパタゴニアで働いていたことでした。毎日のように妻から、パタゴニアの取り組みについての話を聞くようになり、自然と私の中にもその考え方が染み込んでいったのです。
泥臭くて、かっこいい人たち
パタゴニアは、もともとクライミングやサーフィン、登山などのアウトドア・アクティビティから生まれたブランドです。だからこそ、「自然とともにあること」が活動の原点にあり、製品や企業文化すべてにその哲学が貫かれています。ブランドとしてのかっこよさや機能性はもちろんですが、その裏にある「環境への向き合い方」はとても誠実で、時に泥臭いほど実直です。
妻は休日になると、ボランティアとして農業を手伝いに出かけたり、一緒に働くスタッフの方々も、環境や社会課題に対する意識が非常に高いと感じました。私自身は間接的な立場でしたが、彼女の上司であるストアマネージャーの話や、現場でのリアルな取り組みに触れる中で、改めて気づかされたのは、「環境に配慮する」とは一体どういうことなのか――という、本質的な問いでした。
ただ“エコっぽいこと”をするのではなく、それが本当に自然や社会のためになっているのか。長く続けられる仕組みかどうか。そして今は、単に現状を維持するサステナブルだけでなく、自然を癒し、回復させるようなリジェネラティブ視点まで配慮されているか、そんな会話や姿勢のひとつひとつが、私の中に深く残りました。
私自身、もともと“本質を見極める”という視点は常に大事にしてきたつもりですが、パタゴニアの現場で生きているその姿勢は、まさにそれを「日々の選択」として体現していて、自分の価値観や、これからのビジネスの方向性に大きな影響を与えてくれました。
パタゴニア 100ヶ条との出会い
10年ほど前のある日、妻から「パタゴニアの100ヶ条って知ってる?」と言われて、気になって検索してみたんです。そして、その内容に衝撃を受けました。
「ああ、自分がうっすらと感じていたことが、ここに全部書かれている……」
自然を敬い、消費を見直し、ビジネスの意味を問い直す言葉たち。今でこそ「サステナブル」や「エシカル」といった言葉が広まりつつありますが、当時、約10年前にこの100ヶ条を目にしたときのインパクトはとても大きかったです。私が心の中でぼんやり感じていたことを、ひとつひとつの言葉が見事に言語化してくれていたような感覚でした。
なぜ自分は機械より自然に惹かれるのか
私は理系出身で、数学や物理が大好きでした。でも、新しいスマートフォンや車など、人が作ったモノにはなぜかあまり興味を持てませんでした。一方で、自然が生み出す不思議にはいつも感動がありました。昆虫や動物、植物の生態や行動特性――なぜか私は、小さな頃から電車を車を見るより、虫取りの方が好きな子どもでした。
パタゴニア100ヶ条を読んだとき、「自分はなぜ自然に惹かれるのか」その理由が、はじめて言葉になった気がしました。
「大自然を前に神を感じたことがある」「山や海は、聖書以上の偉大なるバイブルである」
そんな一文にも深くうなずいたのを覚えています。
創業者イヴォン・シュイナードの覚悟に学ぶ
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード氏は、2022年に驚くべき決断をしました。同社のすべての株式(約30億ドル=約4300億円相当)を環境活動のために譲渡したのです。
・株式の98%は、環境危機対策に取り組む非営利団体「ホールドファスト・コレクティブ」へ
・残り2%と議決権は、「地球を救うためにビジネスをする」というミッションを守るための信託「パタゴニア・パーパス・トラスト」へ
この決断により、年間約1億ドル(約140億円)もの資金が、地球のために使われる見込みです。「自然とともにあること」が出発点だった会社が、本当にその哲学を全うした――その姿に、心を動かされました。
私たちにできることは小さいかもしれない。でも…もちろん、私たちpeace organic®にパタゴニアのような大きな影響力はありません。けれど、その志に学び、環境と人にやさしい循環の仕組みをつくっていきたいという思いは強く持っています。自然から学び、自然とともに生きる。
「便利」や「経済性」だけではなく、“誰かや何かのためにやさしい選択”を増やしていくこと。それが、私が環境について真剣に考えるようになった原点です。
NZ在住スタッフ


















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